若狭の特産「鯖のへしこ」をお土産でもらったものの、糠まみれの魚をどうしていいか分からず途方に暮れているあなたへ
「鯖のへしこ」は若狭路を代表する特産品。美浜町には「へしこちゃん」というゆるキャラもいるほどです。そして、へしこの食べ方としてポピュラーなのが「お茶漬け」です。『若狭路センチュリーライド』のエイドでも提供されているので食べたことのある方も多いと思います。
ところが、お土産店などで目にする「鯖のへしこ」を見たときの印象はどうでしょう。見た目は茶色い糠(ぬか)におおわれた魚そのもの。真空パックのビニールごしとはいえ、リアルなサカナ感が漂います。魚の扱いに慣れた人ならいざ知らず、そうでない方にはちょっと手が出しにくい代物なのではないでしょうか。
まして、へしこの存在を知らない人が、お土産としてへしこをもらったらどうでしょう。糠に覆われた鯖を見て一瞬戸惑いつつ、心に余裕のある方なら、Googleで「へしこ 食べ方」などと検索できるかも知れませんが、「え〜、これ、なに〜?」とお手上げ状態のまま食されず、あるいは開封すらされることなく消えていくへしこがあったとしたら、かなり残念です。
一度味わったら取り寄せてまで食べるファンもいるへしこ。若狭のお母さんが心を込めてつくったへしこ。そんなへしこを一人でも多くの人に味わっていただきたく、今回は最もポピュラーな「お茶漬け」を題材にして日本一ていねいなレシピをめざして紹介していきますのでご覧ください。
これが「鯖のへしこ」。若狭路では最も代表的なお土産のひとつです。今回は「彦助の鯖へしこ」を使いますが、もちろん他にもいろいろなメーカーが製造・販売をしていて、それぞれに塩加減や味付けが違います。あれこれ食べ比べることができたらいいのですが、そんな機会はなかなかないので、もし宿や料理屋さんで「おいしい」と思ったへしこに出会ったら銘柄を聞いておくといいかも知れません。宿の手作りってこともあると思いますが。
これが一尾モノのへしこ。サイズはこれくらいです。ちなみにこの方は、今回、調理方法を教えてくださる料理人さんです。三方五湖の一つである水月湖の畔にある『湖上館パムコ』という宿の料理人さんです。
では、いきなりですが、この「へしこ茶漬け」レシピにおけるクライマックスとなる下処理からはじめます。まず、ハサミでも包丁でもいいのでビニールを切って、へしこを袋から出します。糠がべったりとついているので、まな板を汚したくないというデリケートな方はあらかじめラップやキッチンペーパーを敷いておくとよいでしょう。もちろん糠は洗えば落ちます。
鯖は背開きしてあるのでパカッと開きます。開くと身の間にも糠がびっしり。扱いやすいように、まずはセンターに包丁を入れて二つに切り分けます。
今回は骨を別の料理(骨せんべい)に使いたかったので三枚に下ろしました。中骨がついた方の身の尾の方から包丁を入れ、骨に沿って包丁を滑らせます。
※三枚に下ろす方法が知りたい方は、Googleで「三枚に下ろす」と検索してみてください。生々しい動画がたくさん出てきます。生魚をさばくのに比べれば、へしこには内臓がないので簡単だなぁと思えるはずです。
上の写真が三枚に下ろした状態です。頭の部分は出汁(ダシ)をとったりするときなどに使えるそうですが、今回は使わないので切り離してそっと脇に置いておきます。写真のとおり、まな板が糠まみれです。でも、生の鯖をさばけばこんなもんじゃ済みません。繰り返しますが、まな板についた糠は洗えばキレイになります。心配した臭いもそれほどでもないので、臆することはありません。
お茶漬けに使う分だけ切り分けます。分量はお好みです。「お好み」とか「適量」などという言葉がレシピで一番分かりにくい表現だと思いますが、他に言いようがないので「これくらい食べられそう」と思う分だけ切り分けてください。
「へしこ初心者」の悩みどころの一つは、糠の処理だと思います。結論を言うと、水で流してしまって大丈夫です。流水で思い切って洗い流してしまいましょう。料理によってはお好みで糠を残す場合もありますが、それは中級以上の食べ方と言うことで......今回のお茶漬けレシピではじゃぶじゃぶ洗い流してしまいます。
※食べきれず保存しておく部分は、糠がついたままラップをして冷蔵庫に入れておいてください
糠を洗い流したら薄皮をはがします。Googleで「鯖 薄皮」などと検索すると、皮の剥き方が出てきます。美しく剥ぐのは難しいかも知れませんが、お店で出すわけではないので思い切ってめくっちゃってください。
こんな感じでペローンと剥がれたら気持ちいいですね。
皮を剥いだらキッチンペーパーなどで軽く押さえて水気を取ります。ゴシゴシ拭かなくても大丈夫です。
以上で下処理は終了です。いよいよお茶漬けに取りかかります。
まずはへしこを食べやすいように切ります。上の写真の様にスライスしてもいいですし、塊のままかぶりついても大丈夫。逆に、細かく刻んでフレーク状にしてもOKです。いろんなパターンを試して、お好みを見つけてください。
必須ではありませんが、軽くあぶってもいいですね。ここではバーナーを使っていますが、ご家庭ではオーブントースターを使っても大丈夫です。生でも食べられるものなので、焼きすぎないことがポイントです。糠のついた切り身をアルミホイルにくるんで......みたいなレシピもありますね。さまざまなレシピを参考にしてアレンジを楽しんでください。
茶碗によそった白米の上にへしこをのせます。盛りつけ方は自由ですが、さすがに料理人はひと味違いますね。これだけでも旨そうです......とは言い過ぎでしょうか。
へしこを載せたらお茶をかけます。お好みでだし汁でもOKです。へしこの塩味を楽しみたいならお湯でもいいでしょう。「お茶漬けの素」はいらないと思います。せっかくなので、へしこの塩気を楽しんでもらいたいです。
ちなみに今回はこんなカンジの薬味を用意しました。梅干しはもちろん福井の梅です。
こんなカンジで盛りつけました。へしこが隠れちゃっていますが、食べたときの存在感はしっかりあります。臭いも特に気にならず、おいしくいただけました。
▼材料
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・へしこ...好きなだけ
・ごはん...食べたいだけ
・やくみ...好きなものを好きなだけ(梅干し、きざみのり、ねぎ、たくあん、ごま、大葉...など)
・お茶...適量
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繊細な料理ではないので、ご自由にどうぞ。